不妊治療は今・・・。
今後もさらなる発展を遂げようとしている生殖医療。
色々な角度から不妊治療を見てみたいと思います。
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(4) 医療費助成制度のお話し(朝日新聞より) 国に先駆け不妊治療への経済的支援を実施する自治体が増えている。助成の目的は少子化対策の一環として行われているようです。長野県松本市は2001年4月から制度を開始し、利用者はこれまでに215組。支払い総額は1500万円に上る。 「何回の治療で妊娠に漕ぎ着けられるかわからず、それにともなって治療費がどのくらいかかるのか見通しがつかない中、助成の存在は非常に有り難い」という意見と、「産む産まないの選択は個人の自由なのに助成制度の存在によって[産めよ増やせよ]と言われている感じ」という意見もあるようです。
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(3) 医療情報を受け取る難しさ!? 時の流れとして当然の事なのでしょうが、私が不妊治療を始めた8年前と比べた今日では、治療の内容や技術・医療施設の数・不妊医療に関する情報(HPから得る情報も含めて)などがかなりの勢いで増えてきています。これは治療を受ける側にとっては大変喜ばしい事です。が、その一方で溢れかえる情報をどのように消化していけば良いのか迷ってしまう現状にあることも否めません。 たとえば近頃話題とされている治療法(培養法・胚移植法)として、不妊治療の一番の難関であるとされる着床の分野で「Assisted Hatching法」・「胚盤胞移植」に続き、「共培養法」・「二段階胚移植法」などが『高い妊娠率を得る治療法』として雑誌やHPの各サイトで大きく取り上げられ、その治療を受けたいと希望するカップルも少なくないようです。もちろん、私達は妊娠に至るためには最適な治療法を希望していますから、妊娠に近づく為の新しい治療法や技術の開発の情報には常に敏感になるのですが、受け取り手として、公開される内容には必ずメリット・デメリットも存在する事を前提に冷静に情報をとらえていく事も大切ではないでしょうか? 一方、情報を公開する側(医療機関)からは、治療法に関して良い面と合わせてマイナス面も公表した上での正当な立場での情報公開がなされていくことを期待したいと思います。 |
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(2)日本の生殖医療の新たなる展開は?
昨今のテレビや新聞の報道により皆さんも御存じかと思いますが、11月に厚生省の「生殖補助医療技術に関する専門委員会」が、第三者の精子や卵子の使用を認るための法整備を提案しました。現在、不妊治療を受けているのは、約285.000人。体外受精で生まれる子は年間1万人を超え、新生児の1%に達します。また、すでに夫以外の精子を使用した人工授精の実施は認められており、これまでに約1万人を超す新たな命が誕生しているとのこと。このような現状の中で、さらに第三者からの精子や卵子を使用した体外受精の実施が認められる際には親子関係の法規定の改定が不可欠のようですが、そればかりでは無く提供される精子や卵子による不妊治療に関して、公的な管理運営機関の設置や生殖補助医療施設の指定など国の管理体制を整える見解も打ち出されているようです。 法案の決定は厚生省厚生科学審議会、日本産婦人科学会、などの協議の結果3年以内に行われるようですが、専門家の意見はもとより国民からの意見も重要視されながら、生殖医療に携わる全ての人が、そして何よりも大切な事として、新しく生まれてきた命が、この世に誕生してよかったと思える環境を整えて行く事を期待します。 |
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体外受精などの高度な技術の治療が開始されて以来20年の歳月が流れ、その間に人間は「生命の誕生」という神秘のベールにつつれた不思議の世界の中身を少しずつ解明しつつ研究を重ね、妊娠のための様々な技術や方法をあみだし、その成果は多くの不妊症で悩んでいるご夫婦に大きな福音をもたらしてきました。勿論、今後も研究者はさらにもっと深くまで研究を続け、少しでも妊娠の効率を上げるために努力を重ねて行くのでしょう。 が、今ここにきて、新しい技術を生み出す事はある程度行き着く所まで行き、その代わりに見直されてきたのは、「治療を受ける人にとって、また卵や精子にとって、優しい医療を心がけよう」という動きのようです。この考え方は、突っ走るだけの医療に疑問を抱き、もっと生命の大切さや、人の手のぬくもりを感じる、優しい、暖かい医療をめざそうとする、いわば医療の基本をもう一度考え直してみようというもの。この考え方は全世界中で共通したもののようです。 このような最近の不妊症を取り巻く考え方や世界の動きは、医療を受ける側にとって、安心して治療に取り組める環境へ、また一つ大きなステップと考えていいのではないでしょうか? 今後も不妊治療の考え方には常に耳を傾け皆さんへ向けて情報を発信して行きたいと思っています。 (2000.8.20 wrote) |