鵙と遊ぶ うぐいす  小鳥たち  鵙の研究

  裏の小さな畑にじゃがいもを植えた後、一息ついたときであった。
もう一度畑を覗いてみたら、一羽のもずが来ているのが目に止まった。
シメタ!と思って、そっと引き返し、急いで愛用のカメラを取りに帰った。
戻ってみると、もずはまだ畑の塀の内側に植えているもみじの木に止まっていた。

  お互いに気持ちをさぐりあった

畑の真ん中には大きな柿の木があり、そこから塀までは15mくらいだ。
ゆっくり、ゆっくり柿の木のそばまで歩いて、木の幹に身を寄せたのだが、
もずは逃げなかった。
 
こんなポーズを見せてくれた

柿の木の幹は地上から1.5mあたりで二股に分かれている。そこから500mmの
望遠レンズでもずを狙った。始めはシャッター音に警戒のそぶりを見せて
いたが、次第に慣れてきたようであった。暫く枝の間をあちこち動き回って
いたが、一度畑の右境界の小屋の向うの高い木の枝に飛び移った。

尾をくるくる回すところは見られなかった

次に畑にやってきたときには、しばらくもみじの枝でじっとしていたと
思うと、さっと畑に下りてきた。そして土の上を跳ねながらこちらに
近づいてきた。こちらも緊張したが、もずの方も緊張しているように
思われた。 地上では、尾をピンとはね上げていた。

地上では首も長くなる

少し遠ざかったと思うと、さっと虫を捕らえて飛び立った。 地中の何かの
幼虫が掘り出されていたらしい。
もみじの枝に帰ると、そこでその虫を飲み込んでしまったではないか。
どこかの木の枝に刺しておくのかと思ったが、あっけなかった。
「はやにえ」の実演は見せてくれなかったのだ。
その後何回か、地上に降りては虫を捕らえて食べていた。

その後、驚くなかれ、私の潜んでいる柿の木にやってきたのではないか。
頭の上ほんの3mほどのところにやってきたのだ。レンズを向けても一向に
怖れる様子はなかった。それどころか、近づいて私の様子を覗っているのだ。
逆に観察されてしまったような気がした。 もずの人間ウオッチングだった。

  もっと覗き込む素振りも見せた

やがて次に、畑の左サイドに生えている別の柿の木に移動した。ここもかなり
近いところである。4〜5mのところだ。カメラを向け直しても、もはや
少しも動じる様子はない。
そして、なんとなんと、そこで小さな声で囀りはじめたのではないか。
すっかり気を許している。
もずは他の小鳥の鳴き声を真似ることが上手な鳥である。
今囀っている鳴き方は、めじろの小鳴きそっくりである。小鳴きという
鳴き方は、正確にはぐせりというらしいが、私たちは子供のころから
そう呼んでいた。
ぶつぶつ独り言をいっているような鳴き方である。ピチュピチュ、
ピチュピチュとか、ピーチョロ、ピーチョロとでも言えばいいのであろうか。
秋の青空に響き渡るあの甲高い叫びとは、全く異質な鳴き方であった。

 

丁度36枚のフィルムを使い切ったところで、何処かへ飛び去っていった。
 
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