変形性膝関節症の知識
H15.1.23更新
変形性膝関節症とは?
加齢に伴って関節表面の軟骨が磨耗し、膝関節に水が溜まったり動作時の痛みを生じる病気です。
膝関節の仕組みと変形性膝関節症
この病気は、膝関節を蝶番に例えると良くわかります。関節の中には関節軟骨や半月板や靭帯などがありますが、これらはケガや病気などで損傷されるだけでなく、日常的な動作の繰り返しでも少しずつですが傷を生じます。ひどくなると軟骨はすり減って関節が変形していたんだ蝶番のようになります。錆び付いたり変形した蝶番ではドアの開閉がしにくくなるように、膝を曲げたり伸ばしたりする動作がスムーズに出来なくなります。これが変形性膝関節症です。
変形性膝関節症の症状は?
初期では歩き始めや下り坂の歩行で膝に痛みを生じたり、少し水が溜まったりします。これらの症状は一時的には良くなりますが、何度か繰り返して生じているうちに徐々に悪化していきます。多くの人の場合は膝の内側に痛みを感じて、進行すると内側の軟骨が消失してあしはO脚に変形し、正座や膝をまっすぐに伸ばすことが出来なくなります。
変形性膝関節症の原因は?
原因は一つではありません。膝のケガや病気が原因になることもありますが太り気味の女性に明らかな原因なく発症することが多くあります。
病院に行くとどんな治療があるの?
1.日常生活の注意と体操の方法を指導します。
2.痛みを和らげる方法として、ホットパックや電子ペン治療などの理学療法、痛み止めや湿布などの投薬、そして関節への注射などがあります。
3.膝を安定させる為のサポーターや足底板などの装具を用いた治療法もあります。
4.痛みや変形が強い場合は手術を行うこともあります。
A 関節鏡で関節内を掃除する。
B 骨を切ってずらすことでO脚などの脚の変形を矯正する。
C 虫歯の治療のように、いたんだ関節面をけずって人工関節に置き換える。
これらの方法が年齢や症状を考慮して選択されます。さらに、いたんだ軟骨を再生させる方法も現在研究されています。
よくある質問のコーナー
1.水があるから痛むの?
膝に炎症がおきていることが痛みや水の溜まりの原因でもあり、通常は水が原因で痛くなるのではありません。
2.水を抜くと癖になる?
水を抜いてもなたすぐに溜まるのは、膝関節の炎症が治まっていない為で癖になるのではありません。治療により炎症が鎮まれば水は自然となくなります。
3.水があると抜かないとだめなの?
必ずしもそうではありませんが、水を調べて診断をつけるためや、水が溜まり過ぎて痛みの原因になっていると思われる時には抜く必要があります。
4.膝の注射は副作用が強い?
膝への注射は現在のところ2種類あります。1つは軟骨の保護剤のヒアルロン酸で、もう一つは炎症を抑えるステロイド剤ですが、どちらの注射も医師と相談して使用すれば心配ありません。
5.薬や注射で軟骨が再生するの?
炎症を鎮めて痛みを和らげたり、軟骨の磨耗を少なくしますが、軟骨を再生する効果は残念ながらありません。
6.健康食品で軟骨が再生するの?
そのような研究結果は明らかにされていません。
7.膝は温めた方がいいの?
基本的には入浴などで温めた方がよく、歩きすぎたりして熱感が強ければ氷嚢などで冷やしてください。また最近のシップは{経皮的消炎鎮痛剤}といって、痛み止めが皮膚からしみこむタイプのものが主流です。この方が従来の温感や冷感湿布より効果的です。
8よく歩いた方が.いいの?
痛みを我慢しての無理な歩行は、かえって膝を傷めます。膝に負担をかけずに運動しましょう。
日常生活の注意
1.肥満が一番の大敵です。体重が1kg増えただけで歩行時の膝の負担は約3kg増加します。膝への負担お避けるため、山歩きなどの運動よりも食事に気をつけて体重を減らしましょう。
2.ベッドやイスを利用して、しゃがむ動作をできるだけ避けましょう。
3.布団から起き上がったりイスから立ち上がる時は、ゆっくりと数回膝を屈伸すると痛みが少なく動き始めることができます。